〝施されたら施し返す、恩返しです〟。8月12~16日に名古屋で開催される第63回GⅠオールスター。7車立てに物足りなさを感じているファンにとって、お気に入りのドラマを見終えた時よりも次週が待ち遠しいだろう。そんな楽しみな激闘で、注目したいのが113期2人の恩返しだ。
まずは1人目は黒沢征治(28=埼玉)。徹底先行を貫く成長株は、関東のエース・平原康多と練習を積む。
「平原さんは体の使い方やセッティングなど、何でも教えてくれる。まるで〝攻略本〟みたい」と最高のお手本になっている。そんな関東の総大将と「ビッグレースで連係したい」。お世話になっている平原の前を回り、積極策で恩返しだ。
2人目は河合佑弥(25=東京)。昨年ヤンググランプリにも出場したが、GⅠは初出場となる。そんな大舞台は473票(40位)のファン投票により出場権を得た。「ファンの方に選んでいただくというのも大きい」と感慨深く語った。「出身は愛知なので気合が入る」と生まれ故郷での最高峰の舞台。チャンスをくれたファンに恩返しだ。
スター選手だけが集まる祭典も、今年は無観客開催と寂しい部分はある。それでも全国斡旋による9車立ての戦いに、ファンの視聴率は例年以上だ。猛暑に負けない尾張の熱戦。埼京の若武者による、恩返しのドラマにも目が離せない。
♤渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の25歳。法大卒。18年4月入社、昨年12月までレイアウトを担当し1月からレース部・競輪担当。愛犬の名前は「ジャン」。6月は車券が好調だったが、7月に〝倍返し〟を食らった。